河童はとても複雑なクリーチャーだ。
日本人なら誰でも知っている妖怪で、頭に皿があり甲羅を背負った緑の姿がお馴染み。
そうかと思うと、妖怪を紹介する本やテレビ、サイトなどでは、河童の姿も生態も本当は多種多様なのだとなっている。
じゃあ、河童って何なんだって話になるんじゃないか?
だって例えば考えてみて欲しい。車にはいろんな種類がある。しかし、人を乗せて地上を走るっていうハッキリした共通点がある。というか、 人を乗せて地上を走るものを車って呼んでるんだ。
犬にもいろんな種類があるけど、生物学的にはきっとハッキリとした共通点があるんだろう。
しかし、河童にはそんなハッキリした共通点ってあるのか?お皿と甲羅を持っているものを河童と定義したくても、どちらも持っていないのに河童と呼ばれているものもいる。
なら、川にいる妖怪を河童と定義しようとしても、実は河童は海にもいるし山にも登っている。また、川にいても河童と呼ばれない妖怪だっているだろうよ。
普通の動物なら、DNAがああだとか染色体がどうだとかで正確に分類出来るんだろうけども、河童はクリーチャーだ。
そう簡単には遭遇できないし、比較や研究なんてもっての他だろう。
妖怪ラバー(クリーチャーの中でも妖怪を愛す者たち)よりも頭の硬い僕はそのことが気にかかって気にかかって仕方なかったけど、最近自分なりの答えが見つかりかかってるので、ここに書いておきたい。
まず、「河童とは何か?」とは2つの意味にわかれると思う。
一つ目は「目撃した、噂を聞いた人がそれは河童だ!と思うものは何か?」
二つ目は「妖怪の世界で、これは河童の一種だ!とされているものは何か?」
例え、どんなに妖怪の世界で、そいつは河童だとされていても、一般の人がみたらそう思わないかも知れない。
例えば、妖怪などほとんど知らない一般ピーポーが川に釣りしに行ったとしよう。そしてそこで頭に皿を乗せた緑のナニカを目撃したとする。一般ピーポーは「河童だー!」と叫ぶだろう。
でも、目撃したのが毛むくじゃらで赤い肌のナニカだったら?叫び声が「お化けだー!」とか「イエティーだー!」とかに変わっているはず。
なので、「河童とは何か?」の質問の一つ目の意味はとても重要。車を見た人が車と分かるように、犬を見た人が犬と分かるように、河童を見た人が河童と分かるようになってなければいけない。
「河童と言えば○○!」といったものの詰め合わせが、その答えである。
僕の厳選した河童と言えばの特徴は下の6つ。
・頭のお皿 ☆☆☆☆
・背中の甲羅☆☆☆
・緑の肌☆☆☆
・キュウリが好き☆☆☆
・相撲好き☆☆
・尻子玉を抜く☆☆
後ろの☆はその特徴がどこまで浸透しているかの目安(僕の独断と偏見)。その辺を正確に調べるにはアンケートしか無いよね。『1000人に聞きました!河童と言えば何?』みたいな。
しかし、最初に言った通り多種多様なクリーチャーが河童と呼ばれている。その共通点って何だろう。ここがなかなか面倒くさい。
まず、そもそもの歴史から。
昔から、日本全国にそれぞれ別の河童っぽい妖怪の噂、伝承があった。この河童っぽい妖怪達が同じルーツを持つ存在なのかどうかは今や誰にも分からない。
やがて江戸時代、論理的にいろんな事を解明しようとする「本草学」が盛んに。そんな中、河童も研究テーマにされる。
学者達は各地の河童っぽい伝承を集め、分析。いつしか『平均的な河童像』が浮かびあがり、噂や瓦版にて広がっていった。
そして、現代も、画一化した河童のイメージを多くの人が持っているのだ。
要は、元々河童はひとつじゃあ無いのだ。姿や生態が違うのはもちろん、本来は名前だって違う。
だからこそ、「河童の一種だとされるものの特徴」はとても大雑把に、抽象的にした方がいいに決まっている。何故ならそれは、元々は個別にあった山ほどの河童っぽい妖怪達に共通する特徴と同じだからだ。
これは僕の中でだが、その特徴は
・水辺に住まう小型霊長類クリーチャー
と言うことになっている。
一つ目に上げた6つの特徴は、その特徴を持つクリーチャーのほとんどが河童、と言えるだろう。しかし、その特徴が当てはまらない河童も山ほどいる。あまりにも具体的かつ目立つ特徴を上げたのだから仕方ない。
二つ目に上げた特徴を持つクリーチャー、つまり「水辺に住まう小型霊長類クリーチャー」の中には、河童とされていないクリーチャーがいるかもしれない。だいぶ大雑把な分類だからだ。しかし逆に、河童とされるもの殆どがこの特徴を持っている。
この二種類の特徴が、「河童」というクリーチャー種族全体を考えるヒントになるんじゃなかろうか。
和一でした。ノシ
この