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なぜ神は悪魔を作ったのか?

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なぜ神は悪魔を作ったのか?

こんにちは。和一です。

さて、前回は悪魔と神の関係についてお話ししました。
しかしそもそも、なぜ善い者の神は悪魔を作ったのでしょうか?神が世界の全てを作ったのなら、悪魔も神によって作られたはずです。

今回はそんな角度から悪魔を見ていきましょう。


一神教で大事な2つの要素
ではまず、一神教における神について考えましょう。ここでは神が持つとても 重要な2つの要素 を確認しましょうか。


1つ目の要素は神の善性です。 前にも述べた通り(悪魔って何?)、一神教では神の「正しさ」=「善性」が重要になります。

なぜなら、正しくない者が我々人類を正しく導いていけるはずも無いからです。そのため、世の中の「悪」の責任を押し付けるため「悪魔」の概念が発見されたのも前に述べた通りです。


そして、2つ目の要素は神の権威です。 一神教ということは、その神が何よりも強く全能なる存在でなければいけません。

もし、神と同等の力を持つ存在がいれば、それは一神教ではありません。同等な者などいなくて、全てを治める者こそが一神教上の神であり、そんな神の教えだからこそ守るべきなのです。

そのためキリスト教でも、悪魔はもちろん、本来は聖人や天使に対してさえも信仰するのは誤りとされていました。あくまで、信仰の対象は神であり、聖人や天使はそのサポート役だからです。


以上、神の善性と神の権威の2つが一神教の世界では大切なのです。 そしてこれは今回のテーマ、なぜ神は悪魔を作ったのか?にも繋がっていきます。
悪魔は「善性」と「権威」の間で

神が悪魔を理由も無しに作ったのなら、神の善性は揺らぎます。かといって、神は悪魔を作っていないとしたら今度は神の権威が揺らぎます。そこで、神と悪魔の関係について、3つの考え方が生まれました。


1、公務員の悪魔
この考え方での悪魔は、完全に神の使い、つまりは天使です。神の命令にそって働く職業のような悪魔なのです。公のための仕事をしているので、言わば「公務員の悪魔」でしょうか。

人類は放っておいても成長なんかしません。そして成長無くして救済は無いのです。神は全ての人を救いたいため、預言者の前に姿を見せたり、神の子を地上に送ったりしました。

しかし、それだけでは駄目。時には人間を試したり、天罰を与えたり、悪を見せることによって人間が自ずと善を求める育てることも重要なのです。

そこで神は地上に使いを送ります。この天使は「敵対の天使」サタンと呼ばれます。そして預言者に理不尽な要求を突きつけたり、異教徒の民族を大量に裁いたりするのでした。

この説では、全てが神の考えでもあるので神の権威はとても高いままです。しかし、それゆえ神の善性には傷がついてしまいました。


2、公認悪魔
この考え方では、悪魔はあくまで(だじゃれやないで)己の意思で地上に悪を起こします。しかしそれは神の管理不足などではなく、その行いは神によって許可されているのです。ちゃんと認可の下りている悪魔、公認悪魔です。

神の使い(つまり天使)も神ほど完全な存在ではなく、様々な欲が出てしまうことがありました。天使の一部は、地上に悪を蒔きたかったのです。一方、神は先にも述べた通り、人類の成長のためには悪を知る必要があることを知っていました。

そこで神は「悪意の天使」をリーダーに、欲のある天使(あるいは堕天使)の一部をまとめあげ、彼等が地上で悪さをするのを認めました。そうは言っても、殆んどの悪い天使はこの時地獄に落とされました。

この説だと、一部悪魔の自由を認めているため神の権威は「公務員の悪魔」のときより少し落ちます。しかし世の中の悪が、神の意思では無くなるので神の善性は少し上がります。


3、暴徒化悪魔
天使にも悪い者がいることは言いました。しかしこの時、あくまで神はそんな天使達を許さずに天使の身分から追放することにしました。いわゆる堕天使です。もともと神のもとしっかり働いていた天使が暴徒化した、ってところでしょうか。

天使の一部が神に歯向かったり、世界に害を与えたりしたとき、神は天からその天使を突き落とすのです。この時地獄に幽閉されれば現世で悪さは出来ませんが、どうやら地上で自由に悪さをできる悪魔もいるようです。

あくまで堕天使は元天使、神の使いなので、世界中に悪を撒き散らすほどの力があってもおかしくありません。そんな堕天使達のリーダーとして元々かなり偉い天使だった「ルシファー」が君臨しています。

この説だと、完全に悪魔に好き放題されているので神の権威はかなり落ちます。しかし、世の中の悪は完全に神の意思で無いので神の善性はとても高いままです。


特異な考え方

さて上ではまだ普通な悪魔論でしたが、もっと本質的なところにまでメスを入れた考え方もあります。


4、魔王は初めからいた
なんと、唯一無二の存在とされていた神には、対を為す存在が原初のころから存在したのです。つまり、神は世界を作りましたが、その魔王もまた悪を撒き散らしているのです。故にこの世界は、善と悪の戦いの世界なのです。

神と魔王、善と悪といった二元論の世界です。あくまで信仰するのは神の方なので、これも一神教のひとつです。しかし、神を絶対的な者とするユダヤ教、キリスト教、イスラム教などでは、かなり異端=危険な考え方でしょう。


5、神は神で無かった
我々が神だと思っていたのは、実は本物の神では無かったのです。神が偽物だからこそ、作られたこの世界には悪がのさぼっているのです。我々はこの悪の世界から脱出しなければいけません。そのために真の神は地上に救世主を送りこみ「真の知識」を人類に伝えるのです。

この知識は「グノーシス」と呼ばれています。そして救世主とはイエスキリストのことです。正しい教えによって、この物質の体から解放され、真に自由の身となり、正しい宇宙に帰るのです。

まあ…異端ですよね。この考え方は王道のものではありませんので気を付けてください。


終わりに

神と悪魔の関係は奥深く、教義の矛盾を無くすために今まで数多くの神学者が考察してきました。時代が下るにつれ、多くの魔術や創作にも多大な影響を与えるようになる「悪魔」。
そのルーツは彼等の複雑で先の見えない議論の中にあったのです。

では失礼
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