こんにちは。和一です。
日本人は遠い昔から、「恐ろしいものたち」を「恐ろしくない」ようにするのが得意でした。
はじめは天災を起こす荒ぶる神々を接待し、やがて怨みの凄まじい怨霊達をも神として祀るようになり、江戸時代では怪奇現象たる妖怪を娯楽に持ち込んでしまいました。現代では萌えキャラ、ゆるキャラ化やネットミーム(ネット上のお決まりのネタ)化もしていますよね。
それは決して悪いことではなく、それが日本人の文化であり、クリーチャーとの一種の共生の仕方でもあります。この共生方法によって日本は妖怪のパラダイスになったと言ってもいいでしょう。
しかし、現代人は日々の人工的な忙しさのなかで「驚異」という物を忘れてしまっているように思えます。クリーチャーは「楽しい、かわいい」だけでなく、本来は「恐ろしいもの」であることを忘れてしまっては、それはクリーチャーとの共生とは言えないのでは無いでしょうか?
そこで今回は、今やネタキャラのようになっているけど本当は怖いクリーチャーを4体ピックアップしてみました。
↑表では普通。でも裏の顔は?
1、河童
日本の代表的な妖怪、河童。今でも知らない人のいない河童。ゆるキャラやかわいいイラストをよく見る河童。しかし河童はそんな単純なものではない。
まず、これは有名だが河童は尻小玉を抜くと言われる。ここで「尻小玉なんて無いんだから関係ねー!」と思ってはいけない。何故なら問題は尻小玉のある場所ではなく、尻小玉を抜かれるとどうなってしまうかだからだ。
尻小玉を抜かれると人は「腑抜け」になってしまうという。それでも微妙と思うかもしれないが、どれほどの「腑抜け」になるかというと実は廃人レベルにまでなってしまうというのだ!もはや普通の人生は送れまい。
次に、河童は馬や人を水中に引き込んで殺してしまう。これも聞いたことのある話だろう。これは子供たちを川の危険から守るための脅しだと思うかもしれない。 「河童が出るから川の○○には行くな!」と。
しかし、河童に本当に狙われてしまっては川から離れていても危険なのだ。
河童は人間に取り憑くことが出来る。そして自分が取り憑いた人を川に行きたくなるように誘導するのだ。やがてその人はふらふらと川に入っていき、犠牲になってしまう。河童に憑かれたら、専門家に祓ってもらう他無いようだ。
2、クトゥルー
クトゥルー神話の代表格。蛸のような頭、蝙蝠のような羽、人型の体を持つ巨大な神。精神に影響を及ぼす力があり、夢によって啓示を与える。
「いやいや、元々強そうじゃん」と思うが、他のクトゥルー神話の神々、または他の神話の代表的な神々と比べると特殊な能力も微妙な上、一回人間に船をぶつけられボロボロにされたこともあるため、「クトゥルー弱い」というネタになってしまった。
しかし、クトゥルーは本当にそこまで弱いのだろうか?ポイントは「復活」と「信者」だ。
まず第一に、クトゥルーはクトゥルー神話の神々の中ではかなり人と接触しやすい神だと言える。(この中には半魚人類の深きものどももふくまれる。)つまりは信者の力が強いはずなのだ。そのためクトゥルー自体は海の底にいても、ある程度自分の都合の言いように工作してもらえる。
そしてクトゥルーの「復活」が何を意味するかだ。クトゥルーは星辰が正しい位置に戻るとき復活するとされている。つまりは今は完全な力を持っていないだけなのだ!
クトゥルーはその信者もあまり聞かされないクトゥルーの復活に関するクティーラの存在があったり、「復活」という言葉がよくキーワードになる神である。今はまだおとなしいが、要注意なクリーチャーである。
3、ミルメコレオ
このクリーチャーはあまり有名ではないかもしれない。上半身がライオンで下半身が蟻という合成生物。ライオンゆえに草を食べられず、蟻ゆえに肉を消化出来ないため、このクリーチャーは餓死してしまうと言われていた。
しかし、ここで大きな問題点。蟻は大抵普通に肉食なのだ!そればかりか凶暴な蟻の一種は群れで人を襲って食ってしまう。要はミルメコレオも本当は肉を食べることができるはずなのだ。それにミルメコレオ本人が気付いたとき、とても危険なクリーチャーが新たに生まれるのだろう。
4、枕返し
夜、人が寝静まった頃、その人の枕の位置を変えてしまう妖怪。今度こそ全く怖くない?いや、それは大きな間違いである。何故なら一部地域では枕返しに枕を返されると死んでしまうと言われているからだ!
そもそも枕は魂の通り道。昔は寝ていてそれをどうにかされたら、魂が返って来れなくなると言われていた。第一、寝ているという隙に何者かがやって来るという事自体も危険なのだ。ひとりの侍が寝ている時に妖怪「髪切り」に髪を切られ、侍として危機管理不足だったと反省した話もある。
可愛いげのある妖怪にも怖いポイントはあるものなのかもしれない。
終わりに
日本人はクリーチャーとの付き合いがとてもうまいです。それは世界に誇れるほどに。だからこそ「本来は怖いものだ」だとか「もしかしたら怖いかも」という感情もバランスよく持たないといけません。
恐怖と楽しさ、危険と有り難さ、強さと可愛らしさ、バランスをとることがクリーチャーとの正しい付き合い方なのです。
これにて失礼ノシ